衛生管理者試験に出題される有害要因による健康障害の覚え方を紹介。
衛生管理者で出題される有害要因による健康障害の覚え方
衛生管理者試験で出題される有害要因による健康障害の覚え方は、『有害な環境や要因による健康障害』になります。
「有害要因による健康障害」とは・・・作業者が有害な環境で長時間にわたって作業を続けることで、健康に問題を起こすことです。
有害要因による健康障害について、有害環境と要因の相対関係を覚えましょう。
有害要因による健康障害
衛生管理者試験に頻出する有害な環境や要因と健康障害を紹介します。
衛生管理者試験に頻出する有害な環境や要因による健康障害は、13項目です
《有害な環境や要因と健康障害》
有害な環境や要因 | 健康障害 | |
---|---|---|
高温 低温 |
熱けいれん | 発汗により、塩分・水分が不足している時に水分のみを補給することで、血中の塩分が低下し、筋肉けいれんを起こす。 |
熱虚脱 | 皮膚温度の上昇により血液が皮膚にたまり、血液の循環が悪くなり、血圧低下、頻脈、頭痛、めまい、失神等を起こす。 | |
熱射病 | 体温調節機能の変調により、発汗停止、体温上昇、意識障害などを起こす。 | |
低体温症 | 低温下の作業で全身が冷やされ、体内温度が全身的に35℃以下になると、意識消失、筋硬直などがみられる。 | |
凍傷 | 0℃以下の寒冷な環境により、体の組織が凍結壊死する。 | |
凍瘡(しもやけ) | 0℃以下の寒冷な環境により、手足や耳、鼻など、循環障害の起こりやすい部分に赤身や腫れが生じ、かゆみや痛みがある。 | |
異常気圧 | 減圧症 | 潜水業務等で、高圧環境から常圧環境に戻る際に、血液中や組織中の窒素が気泡となることで発症し、皮膚のかゆみ、関節痛、呼吸困難、神経麻痺などの症状がみられる。 |
騒音 | 騒音性難聴 | 一定レベル以上の騒音(85dB以上)を長時間聴いて、聴力が回復しないうちに繰り返すと内耳障害が起き、音を神経に伝えることが困難になる。通常の会話よりも高い音(4,000Hz前後)の聴力から低下する。 |
振動 | 局所振動障害 | 周波数が10~500Hzの振動工具(チェーンソーや削岩機など)の使用によって生じる。手のしびれ、こわばりなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。進行すると白ろう病となる。 |
全身振動障害 | 周波数が20~100Hzの振動が全身に作用することにより起きる。血圧上昇、胃腸障害、ホルモン異常などがみられる。 | |
電離放射線 | 早期障害 | 被ばく後の早い期間に、造血系障害、消化管障害、中枢神経障害、皮膚障害などの症状が現れる。早期障害にはしきい値があり、その数値を超えると健康に影響がでる。 |
晩発障害 | 被ばく後数年から数十年後に、発がん、白血病、白内障などの症状が現れる。 | |
亜鉛、銅などのヒューム | 金属熱 | 亜鉛、銅などのヒュームを吸入して壊死を起こした気管粘膜のタンパク質やそれが金属と結合したものがアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことによって引き起こされる。悪寒、発熱、関節痛などの症状がある。 |
有害要因による健康障害はオンライン講座を使うと覚えられる
有害要因による健康障害は、覚えることが明確になっているけど暗記するのが大変!
そんな暗記が大変な時は、オンライン講座を使うと比較的簡単に覚えることが出来ます。
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衛生管理者の過去問【有害要因による健康障害】
衛生管理者試験の過去問で『有害要因による健康障害』に関する出題を確認しましょう。
衛生管理者試験は、2016年度以降出題傾向が変わり難易度が上がってきています。
昔は、過去問だけを繰り返し勉強していれば衛生管理者に合格できましたが、それでは近年の試験に対応できません。
衛生管理者の出題傾向については『衛生管理者試験が変わった!過去問だけやっていると問題解けない』で書いていますので、間違った勉強方法をしないようにして下さい。
衛生管理者!健康障害《2019年4月過去問出題》
2019年4月の衛生管理者過去問掲載の有害要因による健康障害の問題!
【問16】作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 電離放射線による中枢神経系障害は、確率的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると、発生率及び重症度が線量に対応して増加する。
- 熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまいや失神などの症状がみられる。
- 金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛や銅のヒュームを吸入したときに発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。
- 凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
- 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
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解答(3)
解説:(1)電離放射線による健康障害は確定的影響と確率的影響に分けられ、中枢神経系障害は確定的影響になります。(2)~(5)紹介した頻出項目から出題されています。
衛生管理者!健康障害《2020年4月過去問出題》
2020年4月の衛生管理者過去問掲載の有害要因による健康障害の問題!
【問17】作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。
- 騒音性難聴は、騒音にばく露され続けた結果、内耳の有毛細胞が変性し、永久的に聴力が障害を受けるもので、初期には4 kHz 付近の聴力が低下する。
- 金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などの金属の酸化物のヒュームを吸入したときに発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。
- 低体温症は、低温下の作業で、全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいい、意識消失、筋の硬直などの症状がみられる。
- 振動障害は、チェーンソー、削岩機などの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。
解答・解説を表示する
解答(1)
解説:(1)ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると肺胞のガス交換が不可能になります。そのため、酸素濃度の低い空気は一呼吸するだけでも非常に危険です。(2)~(5)紹介した頻出項目から出題されています。
衛生管理者!健康障害《2021年4月過去問出題》
2021年4月の衛生管理者過去問掲載の有害要因による健康障害の問題!
【問15】作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。
- 減圧症は、潜函かん作業者、潜水作業者などに発症するもので、高圧下作業からの減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた窒素の気泡化が関与して発生し、皮膚のかゆみ、関節痛、神経の麻痺ひなどの症状がみられる。
- 金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などの金属の酸化物のヒュームを吸入することにより発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。
- 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいい、意識消失、筋の硬直などの症状がみられる。
- 振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。
解答・解説を表示する
解答(1)
解説:(1)が解答であり2020年4月と同じ解答選択肢となります。ここで注意なのが(1)が頻出するからと『窒素ガスで置換したタンク内の空気など、ほとんど無酸素状態の空気を吸入すると徐々に窒息の状態になり、この状態が5分程度継続すると呼吸停止する。』だけを覚えていると、あなたの試験時に見たことのない問題が出題されて解答できないことになります。(2)~(5)紹介した頻出項目から出題されています。
各項目の過去問を『衛生管理者試験(第1種・第二種) の過去問題解説!』にまとめています。有害要因による健康障害以外の過去問を確認してみて下さい。
衛生管理者試験の有害要因による健康障害について【まとめ】
衛生管理者試験では、『有害な環境や要因による健康障害』を覚えることで解答できます。
《有害な環境や要因と健康障害》
有害な環境や要因 | 健康障害 | |
---|---|---|
高温 低温 |
熱けいれん | 発汗により、塩分・水分が不足している時に水分のみを補給することで、血中の塩分が低下し、筋肉けいれんを起こす。 |
熱虚脱 | 皮膚温度の上昇により血液が皮膚にたまり、血液の循環が悪くなり、血圧低下、頻脈、頭痛、めまい、失神等を起こす。 | |
熱射病 | 体温調節機能の変調により、発汗停止、体温上昇、意識障害などを起こす。 | |
低体温症 | 低温下の作業で全身が冷やされ、体内温度が全身的に35℃以下になると、意識消失、筋硬直などがみられる。 | |
凍傷 | 0℃以下の寒冷な環境により、体の組織が凍結壊死する。 | |
凍瘡(しもやけ) | 0℃以下の寒冷な環境により、手足や耳、鼻など、循環障害の起こりやすい部分に赤身や腫れが生じ、かゆみや痛みがある。 | |
異常気圧 | 減圧症 | 潜水業務等で、高圧環境から常圧環境に戻る際に、血液中や組織中の窒素が気泡となることで発症し、皮膚のかゆみ、関節痛、呼吸困難、神経麻痺などの症状がみられる。 |
騒音 | 騒音性難聴 | 一定レベル以上の騒音(85dB以上)を長時間聴いて、聴力が回復しないうちに繰り返すと内耳障害が起き、音を神経に伝えることが困難になる。通常の会話よりも高い音(4,000Hz前後)の聴力から低下する。 |
振動 | 局所振動障害 | 周波数が10~500Hzの振動工具(チェーンソーや削岩機など)の使用によって生じる。手のしびれ、こわばりなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。進行すると白ろう病となる。 |
全身振動障害 | 周波数が20~100Hzの振動が全身に作用することにより起きる。血圧上昇、胃腸障害、ホルモン異常などがみられる。 | |
電離放射線 | 早期障害 | 被ばく後の早い期間に、造血系障害、消化管障害、中枢神経障害、皮膚障害などの症状が現れる。早期障害にはしきい値があり、その数値を超えると健康に影響がでる。 |
晩発障害 | 被ばく後数年から数十年後に、発がん、白血病、白内障などの症状が現れる。 | |
亜鉛、銅などのヒューム | 金属熱 | 亜鉛、銅などのヒュームを吸入して壊死を起こした気管粘膜のタンパク質やそれが金属と結合したものがアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことによって引き起こされる。悪寒、発熱、関節痛などの症状がある。 |