衛生管理者と労働衛生コンサルタントの違いを紹介していきます。
- 衛生管理者とは
- 労働衛生コンサルタントとは
- 労働衛生コンサルタントと産業医の関係
衛生管理者と労働衛生コンサルタントの資格説明
労働衛生の資格を調べると『衛生管理者』の他に『労働衛生コンサルタント』を目にします。
労働衛生コンサルタントを詳しく知らなくても「名前は聞いたことがある」という人は多いと思います。
『衛生管理者』と『労働衛生コンサルタント』は、労働衛生に関する国家資格ですが3つの点で大きく異なり全く別の資格と言えます。
- 業務内容(やること)
- 業務範囲(できること)
- 受験資格
そこで今回は、
- 衛生管理者とは
- 労働衛生コンサルタントとは
- 労働衛生コンサルタントと産業医の関係は?
- 労働安全コンサルタントとは
について見ていきましょう。
衛生管理者とは
衛生管理者とは、職場の衛生環境の管理を通じ労働者の健康と命を守る責務を負っています。
主な業務内容と業務範囲は以下のとおりです。
- 作業環境の管理
- 労働者の健康管理
- 労働衛生教育の実施
- 健康保持増進措置
- 衛生委員会を運営
- 週に1回、作業場等を巡視
- 労働者の健康障害を防止する措置を講じる
また受験資格も比較的広く、代表的なものを一部抜粋して以下のとおりまとめました。
- 大学または高等専門学校(短大を含む)を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上ある
- 高等学校を卒業し、労働衛生の実務経験が3年以上ある
- 労働衛生の実務経験が10年以上ある
その他の受験資格は『衛生管理者の受験資格がない!裏技使って正式に受験資格を得る方法』にで詳しく紹介しています。

このように衛生管理者は、事業場に専属で選任され労働環境の改善を実行していく役割です。
労働衛生コンサルタントとは!衛生管理者の上位資格
労働衛生コンサルタントは、受験資格は非常に狭く専門的です。代表的なものを一部抜粋し、以下のとおりまとめました。
- 大学.専門学校で理科系統を卒業し、かつその後5年以上衛生の実務に従事した者
- 高校の理科系統を卒業し、かつその後10年以上衛生の実務に従事した者
- 衛生管理者として10年以上職務に従事した者
衛生管理者は、労働環境の改善実務を講じる立場!労働衛生コンサルタントは、体制の診断や改善指導など助言する立場と言えます。
労働衛生コンサルタントになると産業医として選任できる
医者が、労働衛生コンサルタント(保健衛生)の資格を取得すると産業医になれます。
そして、産業医が行うべき代表的な業務は以下のとおりです。
- 従業員の健康・安全を確保
- 従業員の健康情報のチェック
- メンタルヘルス不調者などへの面談指導
- 従業員の健康障害の原因調査及び再発防止
医学的な専門知識・観点から、従業員や事業場内のサポート・助言を行う立場にあります。
産業医の選任基準について
産業医の選任基準は、事業場の労働者の人数が50人を超えたら必ず設置しなければいけません。
産業医の選任基準は、事業場の労働者の人数が50人を超えたら必ず設置しなければいけません。
それ以外にも、従業員の人数や従事する業務内容により選任基準が変わります。
従業員(人) | 産業医(人) | 専属要件① | 専属要件② |
---|---|---|---|
50~499人 | 1 | 不要 | 不要 |
500~999人 | 必要 | ||
1,000~3,000人 | 必要 | ||
3,001~ | 2 |
※専属要件①:深夜業・坑内・暑熱・寒冷・放射線・粉じん・振動・重量物等に関する業務
※専属要件②:専任要件①以外
衛生管理者の選任基準などとあわせて『衛生管理者試験対策!衛生管理者と産業医の選任基準の覚え方』に詳しく書きましたので、ご確認ください。

事業場における従業員数が50人を超えたら、衛生管理者を選任するだけではなく、産業医と契約し選任しましょう。
産業医に当てがなければ『産業医紹介センター』で探すのがGood!
労働衛生コンサルタントと労働安全コンサルタント
労働衛生コンサルタントと似た国家資格に、労働安全コンサルタントがあります。
- 『衛生』に特化した労働衛生コンサルタント
- 『安全』に特化した労働安全コンサルタント
衛生の資格があれば、安全の資格があります。
そんな労働衛生コンサルタントと労働安全コンサルタントを比較してみました。
項目 | 労働衛生コンサルタント | 労働安全コンサルタント |
---|---|---|
業務内容 |
|
|
専門分野 | 衛生状態 | 安全面 |
試験 選択科目 |
|
|
合格率 | <1次・筆記> 30% <2次・口述> 50% |
<1次・筆記> 30% <2次・口述> 80% |
大きくは衛生状態と安全面で専門分野が分かれ、難関資格を突破すれば、それぞれの分野でコンサルタントとして活動することできます。
労働衛生・安全の業務においては、衛生管理者以外にも労働衛生コンサルタントなどの資格が存在します。
自身の業務内容などに照らして、必要な資格の取得を目指していきましょう。
衛生管理者と労働衛生コンサルタントの違い【まとめ】
『衛生管理者』と『労働衛生コンサルタント』の違いは、立場が違うこと!
- 衛生管理者は、労働環境の改善実務を講じる立場
- 労働衛生コンサルタントは、体制の診断や改善指導など助言する立場