衛生管理者の選任について、事業所ごとに行うか解説!また事業所ごとの選任対策も紹介。
- 衛生管理者の事業所ごとの選任条件
- 衛生管理者の事業所について
- 事業所ごとに必要な衛生管理者の対策
衛生管理者は複数の事業所ごとに選任!
複数の事業所がある場合、衛生管理者は事業所ごとに選任しなければなりません。
- 新たに支店が設置され、本社社員が兼任する
- A事業所の前任者が退職したため、B事業所の資格保有者に兼任させる
上記のようなケースも、残念ながら衛生管理者の選任条件としては、違反しているので認められません。
「衛生管理者は事業所ごとに専属で選任する」が原則だからです。
しかし事業所ごとに衛生管理者を選任する必要がありますが『事業所ごと』の認識が間違っているかもしれませんので今一度確認してみましょう。
もしかすると衛生管理者を選任する必要もないかもしれませんよ!
衛生管理者を設置する必要のある事業所ごとってなに?
衛生管理者を設置する必要のある事業所ごととは、同一の場所か離れた場所かという『場所』によって決定すべきだとされています。
Q:労働安全衛生法では、事業所ごとに衛生管理者を選任したり、衛生委員会を設置したりすることになっていますが、そもそも事業所とはなんですか?
A:一つの事業所であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業所とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業所とされています。
よって離れた場所にある50人以上の労働者が働く事業所が2ヵ所以上あれば、それぞれに衛生管理者を選任する必要があります。
また事業所に働く人数によって、専任すべき衛生管理者の人数が変わりますので確認が必要ですね。
事業所の規模 (常時使用する労働者数 ) | 衛生管理者の数 |
---|---|
50人~200人 | 1人 |
201人~500人 | 2人 |
501人~1,000人 | 3人 |
1,001人~2,000人 | 4人 |
2,001人~3,000人 | 5人 |
3,001人~ | 6人 |
衛生管理者の選任人数については『衛生管理者の数!選任すべき数は事業場の規模により増加』で確認して下さいね。
事業所ごとの衛生管理者を兼任する方法【条件高め】
事業所ごとの衛生管理者を兼任する方法はあるが、条件が高いよ。
《事業所ごとの衛生管理者を兼任する条件》
- 2人以上の衛生管理者を選任する場合
- 労働衛生コンサルタントの資格保有者がいる
具体的には、労働者が201名以上の事業所が2ヵ所以上あり、労働衛生コンサルタントの資格保有者がいる場合に、衛生管理者を兼任することが可能。
労働者が201名以上の事業所には、衛生管理者を2名選任する必要がありそんな事業所が2ヵ所あれば、2名の内1名については事業所の専任者じゃなくて良いと言うものです。
この根拠法令は、労働安全衛生規則にしっかりと記述されています。
二 その事業所に専属の者を選任すること。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第10条第3号に掲げる者がいるときは、当該者のうち1人については、この限りでない。
ちなみに労働安全衛生規則の第10条第3号に掲げる者とは
- 医者
- 歯科医師
- 労働衛生コンサルタント
- 厚生労働大臣の定める者
となっているので一般的に衛生管理者として選任される資格者としては、労働衛生コンサルタントぐらいしかいないでしょう。
労働衛生コンサルタントについては『衛生管理者の上位資格!労働衛生コンサルタントは衛生管理者と何が違う』でどんな資格なのか紹介しています。
衛生管理者は複数の事業所ごとに兼任できない!
衛生管理者は、事業所ごとに兼任することは普通できません。
以下のように衛生管理者の業務の性質を考えれば、一目瞭然です。
- 週1回以上、職場を巡視
- 労働者の危険、健康障害を防止するための措置
- 健康診断の実施、健康の保持増進のための措置
- 労働災害防止の原因の調査、再発防止対策
この衛生管理者の業務を場所が離れた事業所ごとに行うのは、現実的じゃありませんね。
衛生管理者が複数の事業所ごとに兼任できる例外
衛生管理者が複数の事業所を兼任できるのが「企業の分社化」です。
《平成18年3月31日 基発第0331005号 分社化に伴う衛生管理者の兼務について》
「企業の分社化」に伴い事業所が2つに分割された時、従来の安全衛生管理のシステムやノウハウを活用するのが適当だと判断されれば、例外的に兼任が可能とされています。
ただし、それには条件があります。
- 同じ敷地内もしくは敷地が隣接する
- 分社化前と概ね変わらない事業内容である
これらの条件を満たせば、複数の事業所ごと衛生管理者が兼任できるわけですね。
衛生管理者が少なければ有資格者を増やしましょ
複数の事業所で兼任の可能性を模索するよりも、衛生管理者が少なければ有資格者を増やしましょう!
この方法が最も現実的な解決策といえるでしょう。
- 異動の頻度
- 事業所の規模
- 人材の流出(退職)
- 労働障害や安全衛生の危険度が高いか
一定数以上の有資格者が事業所内にいれば、後任者や兼任で頭を抱えることなく、労働衛生体制を万全に運営できます。
衛生管理者の効率的な勉強方法については『衛生管理者の最新裏ワザ勉強方法で合格!ドラゴン桜でも使っていた裏ワザ』で紹介!受験者に展開して効率的に衛生管理者を取得させていきましょう。
衛生管理者の事業所ごとの選任について【まとめ】
複数の事業所がある場合、衛生管理者は事業所ごとに選任しなければなりません。
条件は限定的ですが2つの場合、事業所ごとの衛生管理者を兼任することが可能となります